外国人ビザ(在留資格)技術・人文知識・国際業務について
概要
まず、どのような活動が認められているのか、法律上の文言から申しますと。
「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」
何とも長々しいですが、平たく申しますと、大学等教育機関などで履修した理系及び文系の技術や知識を活かした業務に就くことです。また、実務経験も認められているのですが、こちらも高度な知識や技術を必要とする業務となっておりますので、単に経験の蓄積により得られるような技術や知識では足りません。
尚、こちらの在留資格は以前「技術」と「人文知識・国際業務」に分けられていたのですが、企業側の業務も多様化し、理系や文系の業務区別を置いておくことの必要性も、希薄化しておりました。そのような、企業ニーズに柔軟に対応するため、2015年4月1日より在留資格が一本化されております。
基準等:理系・文系の技術や知識を要する業務に従事する場合
下記する1.2.3.全ての基準をクリアしなければなりません。
1.次のいずれかに該当していること
① 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
ポイント
ざっくりと、日本の大学を卒業された方が、理系・文系の職務に従事する場合が該当してきます。尚、大学には短期大学・大学院・大学の附属の研究所等が含まれます。
大学を卒業された方ですと、ある程度広い技術や知識を修得していると入国管理局は判断してくれておりますので、就かせる業務についても厳密な専門性を求められておりません。そのようなことから、雇用企業側も原則的に職務内容を限定せずに広範囲な職務に従事させることが可能ですが、現実的にはある程度の職務範囲がありますので、その職務範囲を申請の際には入国管理局に示す必要があります。
また、専門性を求められていないのは、あくまで日本の大学を卒業した方のみとなっており、海外の大学を卒業した方は、その大学で学ばれた履修内容と職務内容とを合致させる必要があるため、要確認です。
② 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
ポイント
ざっくりと、日本の専修学校にて専門課程を修了し、専門士及び高度専門士の称号を与えられた者が該当してきます。
日本の専修学校を卒業し、専門士や高度専門士の称号が付与され、理系・文系の知識を活かした職務に従事する場合は、上記した大学を卒業し学士の称号を付与された方に比べ、厳密にその専門性を求められます。つまり、従事しようとする職務について、理系・文系の幅広い職務に就くことを認められず、専修学校にて修得した内容と職務内容とを合致しなければなりません。
③ 十年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
ポイント
今までの職務経験の中で、理系・文系の技術又は知識を活かした職務に就いてきたことが、条件となります。この職務経験は、上記した概要中にも説明がありますが、単に経験の蓄積により得られた技術や知識では足りませんので、よく確認する必要があります。
④ 法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有している場合
ポイント
こちらは、情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事する場合となっており、職務内容がかなり限定的です。その資格に関しての法務大臣告示はこちら
2.本邦の公私の機関との契約
ポイント
公私の機関には、一般企業に限らず、国・地方公共団体・独立行政法人などの公共機関も含まれ、日本国内に事業所、事務所等を有する場合であれば個人事業主も公私の機関としてみなしてくれます。
契約に関しては、雇用契約が一般的ですが、委任・委託・嘱託等の契約も含まれ、更に複数機関との契約も認めてもらえます。また、当然のことながら、契約は安定・継続的なものでなくてはなりません。
3.日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬
基準等:外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合
下記する1.2.3.全ての基準をクリアしなければなりません。
1.次のいずれにも該当していること
① 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
② 従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りではない。
ポイント
こちらの場合、職務内容がかなり限定的で、①に掲げた職務内容以外は認めておりません。(限定列挙)また、同時に三年以上の実務経験も必須です。そして、こちらの業務はただ単に外国人であるというだけでは足りず、本人が持っている思考又は感受性が日本文化の中では育まれないようなものでありかつそれがなければ出来ない業務を意味します。そもそも、この在留資格自体が高度人材を対象にしていることからも、単純労働者の就労を水際で防ぐ政府の意図が見られます。
それから、大学を卒業(海外の大学でも大丈夫ですし、大学には短期大学及び大学院を含みます)したものが翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、三年以上の実務経験を要しません。