旅行業登録申請手続
1.旅行業登録申請とは?
旅行業とは、旅行業法第二条に定義付けされているのですが、旅行者のために宿泊施設や交通機関の手配などを、旅行者に代わって業として行うことを指します。
それから、下記のとおり扱う旅行の規模や海外・国内の取引有無などにより、登録しなければならない種類が異なります。
2.旅行業の種類
登録種別 | 行える業務範囲 |
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第1種旅行業 |
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第2種旅行業 |
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第3種旅行業 |
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地域限定旅行業 |
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旅行業者代理業 |
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尚、第1種旅行業の管轄行政庁は「観光庁」となり、それ以外の管轄行政庁は主たる営業所管轄の「都道府県庁」となっております。
3.登録を受けるための要件
① 申請者が欠格事由などに該当しないこと
旅行業の登録申請にあたり、申請者は個人でも法人でもなることが出来ます。しかし、申請者の役員等が欠格事由に該当する場合は、復権するまでの5年間免許申請を受けられないなどがあります。
② 申請者が法人であれば商号や目的に注意
まず、商号ですが既存の旅行業者との類似商号は避けなくてはなりません。そのため、必ず主たる事務所を管轄する行政庁に商号の確認を取ることをお勧め致します。
それから、定款・履歴事項全部証明書中の目的には「旅行業」又は「旅行業法に基づく旅行業」のいずれかを記載しなければなりません。その文言の記載がない場合は、定款変更が必要となり臨時株主総会等の議事録を添付して、登記事項も変更する必要があります。
③ 財産的基礎要件
こちらは、登録種別によって財産的基礎要件が相違し、下記しております基準資産額以上でなければなりません。
基準資産額:
- 第1種旅行業・・・・・・・・3000万円
- 第2種旅行業・・・・・・・・700万円
- 第3種旅行業・・・・・・・・300万円
- 地域限定旅行業・・・・・・・100万円
新設法人で第一期目の決算を迎えていない企業は、「履歴事項全部証明書」中の資本金が基準資産額としてそのまま当てはまります。
つまり、【基準資産額 = 資本金】 となるわけですが、新設会社の場合資本金は基準資産額以上をクリアするだけでは足りず、所要の営業保証金又は弁済業務保証金分担金をプラスする必要があります。
したがって、【基準資産額 + 所要の営業保証金又は弁済業務保証金分担金 = 資本金】 としなければなりません。
第3種旅行業を例にとりますと、【基準資産額(300万円以上)+ 所要の営業保証金(最低の300万円以上)】又は【弁済業務保証金分担金(最低の60万円)= 資本金】とする必要があります。
そのようなことから、新設会社では最低でも600万円又は360万円の資本金にする必要があります。
しかし、決算日直前の場合や設立から半年を超えてしまっている場合などは、このとおりにいくとは限りませんので、会社設立後早急に申請することをお勧め致します。
また、既存法人で決算を迎えている企業は、申請前直近の決算報告書から算出するのですが、まずその中の「貸借対照表」をご確認いただき、下記の式に当てはめて基準資産額以上である必要があります。
【基準資産額 = 資産の部合計 - 負債の部合計 - 所要の営業保証金 又は 弁済業務保証金分担金】
こちらの式で、基準資産額に満たない場合は、増資をするなどしてクリアすることが可能です。
④ 最低営業保証金及び最低弁済業務保証金分担金
以下のとおりとなっております。
登録種別 | 区分 |
最低営業保証金 (供託金) |
最低弁済業務保証金分担金 |
---|---|---|---|
第1種旅行業 | 協会非加入 | 7,000万円 | - |
協会加入 | - | 1,400万円 | |
第2種旅行業 | 協会非加入 | 1,100万円 | - |
協会加入 | - | 220万円 | |
第3種旅行業 | 協会非加入 | 300万円 | - |
協会加入 | - | 60万円 | |
地域限定旅行業 | 協会非加入 | 100万円 | - |
協会加入 | - | 20万円 |
尚、上記した保証金に関しましては、登録後1年間の旅行業務取引高の見込額を算定の基礎としておりますので、申請書中の見込み高を記載する際には注意が必要です。
また、通常ですと法務局に保証金として供託金を納めるのですが、下記いずれかの旅行業協会に加入することで、供託金が免除され保証金も5分の1に軽減されます。
(社)全国旅行業協会(ANTA) 東京支部 |
(社)日本旅行業協会(JATA) 東京本部 |
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千代田区四番町4-9東越伯鷹ビル2階 03-5210-2500 |
千代田区霞が関3-3-3全日通霞が関ビル3階 03-3592-1271 |
※それぞれ入会金及び年会費が異なります。
⑤ 総合又は国内の旅行業務取扱管理者が事務所に専任
旅行業務取扱管理者は、常勤性及び専従性(専ら旅行業務に従事)が求められます。よって、名義貸しや他業務を兼任するなどは認められません。
- Ⅰ.1営業所につき1人以上。
- Ⅱ.海外旅行を取扱う場合は必ず総合旅行業務取扱管理者を選任。
- Ⅲ.従業員数10人以上の営業所においては、複数の旅行業務取扱管理者を選任。
それから、旅行業務を行うにあたって事務所が必須ですが、大家様と賃貸契約を締結する場合は、注意が必要です。賃貸契約書中に、用途として事務所使用はもちろんのこと、旅行業を行う旨の記載がなければなりません。しかし、その旨記載がなくても後日、大家様から、その旨を記載した使用承諾書等をいただければ、問題ありません。
また、「履歴事項全部証明書」中の本店所在地(住所)と主たる事務所の住所が相違する場合、申請時に「履歴事項全部証明書中の本店所在地では、旅行業の営業を行わない旨」を、誓約書として提出すれば、問題ありません。
4.登録の流れから登録後の手続き
Ⅰ.登録にあたっての申請書類の作成及び必要書類の収集
申請書類の作成は、当事務所にご依頼いただいても作成することは可能です。しかし、必要書類はいずれにしてもご自身で収集していただかなくてはなりません。
Ⅱ.主たる事務所が東京都内であれば観光庁又は東京都庁に登録申請
※事前予約必須。
Ⅲ.登録申請が受理されれば、結果までに30日~40日要します。
Ⅳ.登録が認められると、主たる事務所にFAXにて登録通知書の交付日概要が届きます。
※来庁日が指定されております。
Ⅴ.指定日に観光庁・東京都庁に赴き、登録免許税90,000円を現金で納めます。
Ⅵ.登録後14日以内に、供託金を納める場合は法務局の受領証コピー、協会に加入する場合は保証金分担金の受領証コピーを、観光庁・東京都庁にFAX又は郵送。
営業開始
5.営業開始後にすること
登録の有効期間は、登録の日から起算して5年となっているため、引続き旅行業を営む場合は、有効期限の2ヶ月前までに、更新手続きをしなければなりません。尚、毎事業年度終了後、100日以内に年間の取引高報告書を提出しなければなりません。また、商号や代表者、旅行業務取扱管理者などに変更があった場合には、変更のあった日から30日以内に届出をしなければなりません。