民法改正~再婚禁止期間の短縮~

離婚した女性の再婚禁止期間を、現行の180日から100日に短縮する、民法の改正法が6月1日参院本会議にて可決成立しました。更に離婚時、妊娠していないようであれば、医師の証明書などを添付することによって、離婚後100日以内でも再婚を認める条文も、盛り込まれているようです。

こちらは、昨年12月の最高裁の判決を受けて、今国会に法案が提出されていたもので、2016年6月7日に公布・施行されました。

ここで疑問になるのが、そもそもなぜ女性にだけ再婚禁止期間が設けられているのでしょうか?こちらは、妊娠が大きく関係しており、再婚をした場合に、その子が前夫の子なのか、再婚相手の子なのかを明確にしておくための線引きです。これを嫡出子の推定といい、現行法上、離婚後300日以内に生まれた子は前夫との子、再婚(婚姻)後から200日経過後に生まれた子は再婚相手との子、とする嫡出の推定規定があります。
※法律上の婚姻関係にある男女間に出生した子を「嫡出子」、法律上の婚姻関係に無い男女間に出生した子を「非嫡出子」といいます。

再婚禁止期間と生まれた子の父親の推定
再婚禁止期間と生まれた子の父親の推定

昨年12月の最高裁の判決では、現行法上の禁止期間100日を超える部分(つまり101日から180日まで)が「過剰な制約で違憲」と判断されました。

上図改正後のように、再婚禁止期間を100日に短縮しても、嫡出の推定が重ならないことから、最高裁の判決を素直に規定に盛り込んだといえるでしょう。

しかしながら、医療技術が発展した今日では、DNA鑑定を行えば誰の子であるかは一目瞭然であることから、法律によって再婚禁止期間を設けて置くこと自体が違憲ではないかとの声もあります。※その声を受けてかは定かではありませんが、新法内付則に再婚禁止期間の見直し規定を置いているようです。

いずれにしても、明治時代から続く再婚禁止期間は、再婚・離婚の価値観が多様化した現代社会の時代のニーズにうまく適応しておりませんので、時代のニーズに最高裁も柔軟に対応した結果といえるでしょう。

以下URLは、法務省の今般改正に伴う戸籍事務手続きの取扱いに関する案内ページです。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00059.html