高度人材外国人ポイント制による優遇制度ついて
法務省より、平成24年3月30日、高度人材に対してポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を講ずる制度に関する法務省告示が制定されました。この制度は、平成24年5月7日より開始されています。
1.制度の概要
こちらの制度は、現行の外国人受入れの範囲内で、経済成長や新たな需要と雇用の創造に資することが期待される高度な能力や資質を有する外国人(=高度人材)の受入れを促進するため、「学歴」、「職歴」、「年収」などの項目ごとにポイントを設け、ポイントの合計が一定点数に達した方を「高度人材外国人」と認定して、出入国管理上の優遇措置を講ずるものです。
2.ポイント評価
申請人本人の希望に応じ、高度人材外国人の活動内容を①学術研究活動、②高度専門・技術活動、③経営・管理活動の3つに分類し、それぞれの活動の特性に応じて、「学歴」、「職歴」、「年収」、「研究実績」などの項目ごとにポイントを設定し、評価されます。
※ポイント計算詳細は下記URLからご参照ください。
↓ ↓ ↓
http://www.immi-moj.go.jp/info/pdf/120416_02.pdf
3.対象者
上記ポイント合計70ポイント以上を獲得できる方が、高度人材外国人の対象となります。但し、この制度があくまで「就労資格を取得できる外国人の中で、特に優れた人材を優遇的に取扱う制度」ですので、既に在留資格「留学」や「日本人の配偶者等」などにて在留する方々は対象となりません。(但し、例外的措置あり)
4.申請から結果まで
対象者は、別紙ポイント計算表と共にそのポイントの裏付けとなる立証資料を添付して管轄の(地方)入国管理局に申請します。
高度人材外国人に関する審査は、優先的に行われるため入国手続き(在留資格認定証明書交付申請)については申請受理から10日以内、在留手続き(在留期間更新許可申請・在留資格変更)については申請受理から5日以内に概ね結果が出るようです。
尚、高度人材外国人の認定を受けると在留資格は「特定活動」となります。
5.優遇措置
許可後には、以下の出入国管理上の優遇措置が付与されます。
①複合的な在留活動の許容
従来の就労可能な在留資格にそのまま当てはめるのではなく、高度な資質・能力等を活かした複数の在留資格にまたがる活動や、併せて事業経営活動を行うことを許容。
②最長の在留期間「5年」の付与
個々の在留資格においての在留期間は、外国人の在留状況や活動内容等に応じて決定されますが、高度人材については最長の在留期間5年が一律に付与されます。
③永住許可要件の緩和
外国人の方が永住許可を受けるためには、原則として日本での滞在歴が10年以上必要です。しかし、高度人材については許可後概ね5年以上引続き高度人材としての活動を行っている場合は、永住許可の対象となります。(尚、申請時期については同活動を4年6ヶ月以上続けている場合は、永住許可申請が可能です。)
※注意点としまして、高度人材として許可される以前から日本に何らかの在留資格で滞在されている方については、それまでの滞在歴が通算出来ないことです。あくまで、高度人材の活動を引続き行っていることが大前提となりますので、許可後から概ね5年以上となります。
※なお、現在概ね5年されているものを3年に短縮するということが、平成25年6月14日に閣議決定されており、法改正を予定しております。
④高度人材の配偶者の就労
通常、日本で報酬を得て就労するためには在留資格「技術」や「人文知識・国際業務」などの、就労が認められている在留資格を取得しなければなりません。また、在留資格「家族滞在」や「留学」など原則就労が認められていない在留資格については、週28時間以内という労働時間の条件のもと、資格外活動許可書を取得して働くことが例外的に認められています。
しかし、高度人材の配偶者は上記したような制限なく就労することが可能です。但し、高度人材との同居義務や日本人と同等額以上の報酬を得るなどの諸条件があり、就労先も事前に特定されていなくてはなりません。
⑤高度人材の親の帯同の許容
通常、何らかの在留資格で日本に滞在している外国人の親の受入れは認められていませんが、高度人材又はその配偶者の親(実親に限ります)は以下の条件を全て満たした場合に限り認められます。
● 高度人材又はその配偶者の3歳未満の実子を養育すること
● 高度人材の年収が1,000万円以上あること
● 高度人材と同居すること
● 高度人材又はその配偶者のどちらかの親に限ること
※尚、滞在期間については最長3年間となっております。
⑥家事使用人の帯同の許容
通常、家事使用人を雇用することは在留資格「投資・経営」又は「法律・会計業務」で在留する一部の外国人にしか認められていませんが、高度人材については下記一定条件を全て満たした場合に限り認められます。
Ⅰ.外国で雇用していた家事使用人を引続き雇用する場合
- 高度人材の年収が1,500万円以上あること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 帯同する家事使用人が来日前に1年以上当該高度人材に雇用されていた者であること
- 高度人材が日本から出国する場合、共に出国することが予定されていること
Ⅱ.Ⅰ以外の家事使用人を雇用する場合
- 高度人材の年収が1,500万円以上あること
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
- 家庭の事情(申請の時点において、13歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有すること)が存在すること。
※尚、上記Ⅰ及びⅡともに帯同できる家事使用人は1名までです。
◇高度人材外国人雇用の際の注意点◇
高度人材外国人の在留資格は「特定活動」となり、在留カードを見ただけでは就労可能かどうかなどの判断が出来ません。(在留資格「特定活動」の活動類型は多岐にわたっているため、必ずしも高度人材外国人とは限りません。)そのようなことから、高度人材外国人雇用の際には本人のパスポートも併せて確認するようにしてください。
パスポートには、「指定書」が必ず添付されているはずですので、高度人材外国人とその配偶者等であれば、下記活動類型が記載されております。
- 特定活動(高度学術研究活動)
- 特定活動(高度専門・技術活動)
- 特定活動(高度経営・管理活動)
- 特定活動(高度人材の就労配偶者)
- 特定活動(その他)
※その他の方は、原則就労不可です。しかし、資格外活動許可書を取得することにより週28時間以内の就労が可能です。